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PICKUP  第7回  楡崎慎一郎




■ はじめに
 
 第7回は奈波はるかの「千代菊シリーズ」(集英社コバルト文庫)のキャラクター、楡崎慎一郎について取り上げていきたいと思います。奈波はるか・著、 「千代菊シリーズ」、出版社・集英社コバルト文庫より抜粋、引用させていただきました。 
■ 肩書き

 32歳。楡崎グループを束ねていて、関西実業界の生まれながらの貴公子と言われている。ちなみに2代目であり楡崎グループの総帥。この楡崎グループはデパート・病院・ホテル・レジャーランド・ゴルフ場・不動産会社・鉄道・タクシー・観光会社・ノンバンク・その他色々な企業を傘下におさめている大企業。
 やり手で外国語が堪能。英語・フランス語を話せます。海外の要人に知己が多い。企業買収の鬼・無慈悲な帝王・冷血漢・血は青いなどと言われている男。しかし、瀕死の企業を奇跡的に再生させるので『ミラクル・シャーク』と呼ばれています。 バツイチ。財閥の令嬢と政略結婚していましたが、妻に浮気をされて離婚に至っています。 
■ 外身と中身
 
 目つきは鋭く鼻筋が通っていて冷たい印象のハンサム。不敵な表情で人を襲う大型の銀色の鮫。冷静沈着・頭脳明晰。的確な状況判断と迅速な対応力があります。
 けれども、傲慢で自身過剰。かなりキザ。しかも金に物を言わすタイプ。女たらしは祇園で有名で、色々な芸妓と噂がある。そして舞妓嫌いでした。
■ ニレの実像 

 上記のような肩書きや外見などは表向き…。実際はドキザ・エロ・ロリコン・ショタコン…と変態まっしぐら男になってしまっている男です(ひどい言い様…)。
 そして舞妓は話し相手にならないといって嫌っていたはずだったのに、13歳の少年舞妓・千代菊ちゃんにメロメロになり、しかも翻弄されているかわいい奴でもあるのです。
特徴1 ドキザ

「天から舞い降りた天女のようなういういしさですよ。こんな舞妓は見たことがない」
 ニレ節炸裂!さすがドキザです。そして高価なブーケを千代菊ちゃんに贈る。そしてこのブーケのメッセージ。
「ジャクソンに追われて逃げてきた小さな身体を抱きよせたとき、まるで少年時代にトリップしたように一瞬錯覚しました。始めて恋しい女性を抱きよせたときのように、呼吸をするのも苦しかった(省略)」
 手がはやっ!でも実りは少ないようです。千代菊ちゃんの感想はと言えば、「ボケーッ」、「なんとも思わないよ」 だったから…。哀れ、ニレ。
「昨夜、あなたにお目にかかってから、正直いって自分でもとまどっているんですよ。〜私は、女性といってもまだほんの少女、扁平で中性的な身体の持ち主に恋してしまった。まるで魔法にかかったように。自分でも信じられませんね」
 いちおう戸惑ってはいるようですが、千代菊ちゃんを落そうとする行動は早いです。扁平とか言ってますが、本物の女だったら聞き逃せないのでは…。
「私の眼がくらんだのは、衣装だけじゃありませんよ。愛らしいお顔と、澄んだソプラノの声と、白い指と、さくらんぼのような唇と、細い肩に涼しげなうなじ、それと豪華な絹の衣装に包まれたしなやかな身体。あなたのぜんぶに眼がくらんだんですよ」
 さらに惚れたことを語るニレ。昨日一日のうちにかなりしっかり見ていた様子。さすが、ニレ。
「大人の舞にはない初々しさと、少女の妖しい色気が同居している、あやかしの舞ですね」

「あなたは小さなブラックホールだと」

「私は抵抗もできず、引きずりこまれている」

「舞妓の格好をしていないのに、あなたの魅力はいっこうにくすんでいない。むしろ新鮮で、新しい魅力になっている。私が魅せられてやまないのは、外観ではなくて、あなたの中身だということが、今、ここで、わかりましたよ」
 とにかく口説くニレ。千代菊ちゃんを口説きまくり。さらに入院したニレのお見舞いにきた千代菊ちゃん。しかし、すかさず薔薇の花篭と一緒に千代菊ちゃんの手も掴む。
「千代菊、あなたにお逢いするたびに、私はあなたに恋しますよ。お目にかかって一ヵ月あまり。なん度あなたに恋したか、わかりませんね」
 千代菊ちゃん、お見舞いに行く必要ないです。危険ですよ、この男。ニレ節炸裂させています。
「千代菊、そうなったら、そうなったで、これからも、つき合ってくださいますね」
 千代菊ちゃんが舞妓をやめようとしているときに言った言葉がこれです。ニレはロリコン(実はショタコンか…)決定しました!!
「あなたに恋しているからですよ」
 千代菊ちゃんが筆跡を変えて出した手紙も見破る眼力を持ち、またニレはいけしゃあしゃあとこんなこと言ってます。
特徴2 エロエロ

「きれいなおみ脚を拝見できて光栄ですね」

「それは― 一大事だ。私にお任せなさい。あなたをお護りしましょう」
 千代菊ちゃんがお客に迫られてお座敷から逃げてきた時、着物のすそを掴んでいたために千代菊ちゃんの素敵な脚が見えました。その時の台詞。そんなニレに助けを求めた千代菊ちゃん。「大丈夫ですよ」とか言いつつ、ちゃっかり抱きしめます。
 そう言ってニレは自分の上着を脱いで千代菊ちゃんを両腕で抱き、そのまま畳の上に押し倒したわけです。ニレも畳の上に体を横たえて、絡んでいるように見せるという…一見すると助けているようにも見えますが…。実際は下心ありあり。
 そしてニレは千代菊ちゃんに既にメロメロ!それは残りのお座敷の時間を買い取り、デートに誘ったりしているからです。
「私に寄りかかりなさい」
 別荘に招待して13歳の千代菊ちゃんを梅酒で酔わす始末!それが目的でしょう、ニレ!そしてさらに信州の別荘(いっぱい持っているようです)に誘おうとしているニレ。下心ミエミエですよ…?しかし、千代菊ちゃんはニレはロリコンだという公式を完成させた模様です。大正解です。
「あなたの色香に、頭がおかしくなったんですよ」

「頭の変な男は、なにをやってもふしぎじゃありませんね」

「あなたがほしい」
 千代菊ちゃんを押し倒して足首を掴み、ニレは余裕の笑みなんて浮かべてますが、思いきり反撃されて一応諦めた模様。
「私を殴ったとき、少なくともその瞬間、あなたは真剣に私と向き合っていた。あなたは私だけのものだったんですよ。殴られてうれしいなんて、初めての経験ですよ」
 ニレ、とうとうマゾデビュー?新たな事実が発覚。千代菊ちゃんに自分がほしいなら実力で来いとタンカをきられて、
「わかりました。そうしましょう。私がそばに立つだけで、あなたの身体の芯が火照りはじめるようにしましょう」
 言う言う!この男は、ホントに…。
「いけませんか?あなたに恋する男として、ヤキモチを妬いてあたりまえ。一越があなたに着物を着せるなら、私は着物を脱がせる役に回りましょう」
 ニレ、着物をプレゼントした一越氏にヤキモチを妬く。そして千代菊ちゃんの手を引っ張り抱きしめて首筋にチュー。2度も!おまけに頬にもチュー。千代菊ちゃんももっと抵抗しないと…キビシイお仕事です…。
「それは、女が男を誘うときの言葉ですよ。あの男に抱かれたいんですね。そうなんでしょう?」

「嫉妬に狂った男は、なにするかわからにということを教えてさしあげようと思っただけですよ」

「あなたが、ほかの男を誉めるだけで、私の頭の血管が膨張するのがわかるんですよ。重症ですね。あなたの手を、あの青年が握っているのを見たときは、脳の血管が三本ばかり音を立てて切れましてね」
 何だかだんだん某N氏に思えてきました。もしかして高速回転?まさかニレの皮を被ったN江なんじゃ?おまけに13歳の千代菊ちゃんにかなり本気ですよ、この人…。でも押し倒すことはもちろん忘れません。そういう男だから…。
 でも以外と冷静?な千代菊ちゃんに血管うんぬんに関して「それじゃ、大変じゃん」って心の中でつっこまれてます。…確かに。
「このおみ脚に、私は一目惚れしたんですよ」
 しかし、ニレは甘くなかったのです。シャークだったのですよ。千代菊ちゃんを押し倒して裾をめくり、手のひらでなでなでしています!エロ大爆発。
「いやどころか……うれしくて身体が疼きますよ」
 ケガして眼が一時的に見えなくなっているニレ。しかし、匂いと音で千代菊ちゃんを嗅ぎ分ける男。やっぱり…ニレってN氏?N江N綱なんじゃないですか?…もしかして驚愕の事実?!
「千代菊、泣いているあなたを見ると、心がえぐられるように痛みますよ」
 そう言いながらも抱き寄せるニレ。こらこらこら!千代菊ちゃんは弱っているんですから!
特徴3 キスねだり魔

 ニレはすぐに千代菊ちゃんにキスをしようとします。そしてすぐねだる。襲う。いつも強引にゴーゴー!って感じです。でも千代菊ちゃんは全くなびくこともなく…。千代菊ちゃんにディープキスした上、自分のお座敷では毎度のことだと言いきる男。
「そんなに歯をくいしばらないで。楽しむどころか噛みつきそうな勢いですよ」 

「かわいい人だ。いやがるあなたをむりやりってのも、男としてはたまらないですね」
 千代菊ちゃんはいやがってるんですって…。気づきましょうよ、ニレ。千代菊ちゃんに好きでもない奴とするキスなんてゲロ吐きそうとか思われてますよ。挙句、スケベ親父・ロリコン・変態とか心の中で怒鳴られています。
「千代菊は……キスは初めてだったのですね」
 今更反省しても遅いですよ。散々したくせに…。
「千代菊、あなたは残酷な方だ」
 なんて言った後に千代菊ちゃんの手の甲にチュー。目的はそれか!さらに報酬とか言ってチュー。そしてタクシーに乗ったら手を繋ぐ。常に接触を狙っています。そして千代菊ちゃんの舞を見た後は、
「すばらしかったですね。あなたのおっしゃるとおり、伊織くんの着物を着ると、あなたは魔法にかかるんですよ。魔法にかかっているあなたを見たら、見ている我々も魔法にかかる。魔法にかかると、私はじっとしていられなくなる」
 また口にチュー。なんてすばやいでしょう、ニレは。チャンスをものにする男、それが楡崎慎一郎!
「豪華なシルクの衣装も、かんざしも、あなたの愛らしさを引き立てるための素材。数千万円葉する衣装と装飾品に包まれて、一番美しいのは、あなたでしょうね」
 そう言ってチュー。さらにディープキスへ発展。ケガしてもタダでは起きないニレ。そして、キスの感想が、
「少しは上達しましたね。キスを楽しむコツがわかってきたようですよ」
 …さすがニレ。ケガなんてあってないようなもの。眼をケガしてるのに…。
「あなたの質問にひとつ答えたら、キスひとつ。いかがですか」

「あなたのせいで、頭がイカレてる。このイカレ頭は、あなたのキス以外には、治しようがないんですよ」
 そう言ってニレは千代菊ちゃんの二本の指の間を食べたり…!指でうなじをなぞったり…。やりたい放題ですね。 
■ 感想
 
 読んでいただきありがとうございます。第7回の楡崎慎一郎はいかがだったでしょうか?このキザっぷりとエロエロキス魔人ぶりが、好きなんです。そしてけっこう積極的に攻めているのに報われてない感じも好き。
 今後、愛しの千代菊ちゃんとの関係はどうなっていくのでしょうか?もちろんくっつくんですよね!そして、ニレが千代菊ちゃんの正体を知った時にはどんな顔をするのか…期待してます。