■ 直江への想い |
高耶さんは直江のことをどれほど想っているのでしょうか?2人の関係を考えつつ、第1部から現在に至るまで順番に追ってみたいと思います。 |
|
|
|
第1部 1〜12巻 |
(あの男に熱を感じる。……熱?) (1巻p58)
(ぬくもりが欲しい。(省略)別れ際の直江の顔が浮かんだ。あとを追ってほしい、と心のどこかで思った。(省略)そばにいて守ってほしいと思ったのだ。) (2巻p159〜160) |
|
直江に熱を感じたこの瞬間から高耶さんの直江への想いが再スタートしたのかもしれませんね。しかしこの頃の高耶さんは、まだ高校生であり、記憶もあやふやなので、直江の豹変ぶりに翻弄されてひどく混乱。けれども直江は自分(高耶)ではなく景虎を求めているだけだと考えているため、高耶さんは直江を求めつつも、それを認めたくないという思いがあります。
そしてさらなる混乱を呼んだと言えば、直江に言われたこれしかないでしょう! |
|
「あなたの”犬”です」 「”狂犬”ですよ」 (断章p127) |
|
この直江伝説の始まりとも言えるこの有名な言葉を聞いて、高耶さんは戦慄して立ちつくしてます。(誰でも驚きます…) しかし、記憶を取り戻しつつある高耶さんは逆襲(?)が始まりました。この辺りから、景虎さまのエンジンがかかってきていますね。そして、勝者と敗者という対立が深まってきます。同時に直江を欲しがるようになったり、独占欲がきつくでてくるようになります。 |
|
(おまえはもっと欲しがれ!欲しいと言いつづけて欲しい。もっと言って欲しい。いつまでも言って欲しい。何度も言って欲しい。抱きたい、手に入れたい、キツク独占したいと。もっと所有して欲しい。もっと抱いて欲しい。心も肉体もすべて俺のものだ、と。叫んでほしい。宣言して欲しい。誰にも触れさせない。いつまでもあなたは俺だけのものだ、と。) (11巻p199〜200)
「あいつはオレにしか興味を持たない。オレしか見ない。オレだけの飼い犬だ。全部がオレのものだ。あいつの眼も、声も、言葉も肉体も、涙も汗も体液も、幸福も痛みも誇りも思考も知識も、記憶も……歴史も!誰にも触れることはできない、オレ以外の人間が、あの存在に関わることは許さない!」 (11巻p225)
(求めて欲しい。犯してもいい。犯して犯して死ぬほど求めて飽いても抱きつづけて欲しい。痛みしかない抱擁をくれ、血塗れになるまで穿ち刻み込んで失神しても離さず、何十回も何百回も繰り返し強く深く、おまえの熱い肉が欲しい!) (12巻p85) |
|
狂ってしまった後はもう直江を求めまくり。でも景虎さまの本音が全て集約されているのではないかと。でも、肉が欲しいって…そんな大胆な…。穿つだなんて…。本音は直江に勝るとも劣らないものですね。
それにしても、高耶さんの思考の高速回転は愛おしく辛い苦悩です。もう悲痛すぎて涙が出てるので、直江には早く何とかして欲しいと思ってしまいます。 |
|
|
|
第2部 13〜20巻 |
小太郎な直江に自分のシャツのボタンを弾き飛ばし、生々しいキズの跡と躰を見せつけたり、コタ直江を誘ったりして大変なことをしいます。直江以外はダメです、高耶さん!そして、直江の幻聴を聞いて躰が疼く高耶さん。何だか大人に近づきつつある…?
そして、開崎誠の優しさに触れて涙を流したりの第2部。高耶さんの狂おしいばかりの思いが溢れています。直江が側にいないからですよ! |
|
(あの思いやりは奇跡のようだ、と思った。(省略)もうこれから先の時間と空間のどこにも、彼は存在しないのだ、と思うと、体中が奈落の底に墜ちていく感じがする。) (14巻p87)
(おまえに愛して貰わないと生きていけない。おまえに愛して貰わなきゃ死んじまう……。) (19巻p10〜11)
(おまえを……愛しているよ。直江。おまえの苦しみを、癒したかった。(省略)今までもこの先もオレ以上におまえを欲しがる人間なんて現れない。千年先も。永遠にきっと。) (19巻p12)
(橘義明という名のこの肉体が、こんなに愛しいと思うのは、きっと証のたくさん刻まれた体だからだ。景虎を失う絶望を刻んだ左手首。「景虎」を白紙にして、生き直そうとした自分を守った背中の傷。直江の、景虎への想いが―「歴史」となって、深く刻まれている体だから……愛しかった……) (20巻p150〜151)
「オレのものだ」 「この傷も―すべて、オレのものだ」 (20巻p187)
(離したくない。もっともっと奪いたい。もっともっと搾り尽くしたい。最後の一滴まで…。一滴残らず自分の中に入れたい。一滴も逃したくない、この存在を。存在全てを自分だけのものにしたい。) (20巻p188)
(この男を独り占めしたい。誰も心に入れさせたくない。他の誰の名前も呼ばせたくない。いまならきっと、他の者を見るだけでも、気が狂う……) (20巻p188)
(独占欲で狂う。剥がれていく魂の核にあるのは、これなのか。理性も知性も喰われてしまう。この男だけが、自分という存在をひたすらに埋めていく。ただこの男を、自分のものに。自分だけのものに。) (20巻p188)
「愛してる……」 (20巻p219) |
|
高耶さんの直江に対するハードでディープな愛情は他の追随を許しません。誰も叶うわけはないです。さすが似たもの主従…。独占欲と執愛が輪をかけて進んできてますが、それがもう私には(直江も)たまらないです!直江に聞かせてやりたいですね。 |
|
|
|
第3部 21〜28巻 |
(恐ろしいのはあの男だ。呪縛されたのはどっちだったか。心や頭なんかおかまいなしに、体があの男をねだりまくる。この貪婪ぶりには、呆れを通り越して吐き気がした。人間の妄想とはここまで手の施しようがないものなのか。たったいまも。中断できやしない。一度発情の兆しが出たら最後だ。淫乱に自らを犯している。マスターベーションなんて上品なものじゃない。濃厚なオナニー、セルフセックスだ。) (21巻p101〜102)
(あの男は存在そのものが男性器だった。) (21巻p105)
(なぜアレがないのか。アレで埋めて欲しい。なんで入ってねえんだよ……) (21巻p106〜107)
(息もつかせぬほど唇を貪って、腹の上に跨って、きっとおまえを犯し殺す。埋められていくばかりではない。そこには確かに、今まで支配してきた男に征服される暗い悦びまであった。何よりもそれを恐れながらずっとこうなることを望んでいた。) (22巻p105) |
|
蝶の羽化後、すっかり大人になった高耶さん。この頃になると躰も激しくねだるようになっています。直江の味を覚えて悶えております。最初の頃が懐かしい…。延々10ページ近く高耶さんのセルフ●ックスが続いているのですから、直江という男、すごすぎる。何て伝染力なんでしょう。こんな第3部の見所の1つに貪婪な高耶さんが挙げられますね! |
|
「おまえの言葉を生きて確かめてやる。おまえの想いが永久であるかどうか。本当になくならないかどうか。戦いが真実になるかどうか!この眼で確かめてやる。時の果てまで生きて確かめてやる!そのためにも、オレは上杉景虎であることを終了しない。絶対に永遠に―やめない!」 (26巻p35) |
|
魂核死しそうな高耶さんが直江との想いのために熱い気持ちを直江にぶつけるシーン。かっこ良さによろめきつつ、どうやって生き残るの〜?という考えが直江のようにぐるぐる回ります。助けて、毘沙門天! |
|
「オレは細胞核まで!おまえに染め上げられてしまったのに……!」 (26巻p28) |
|
細胞核?それは仕方がないですね。相手は何ていったってあの直江ですからね。 |
|
「なんでこんなに愛してる人間に『さよなら』をいわなきゃならなかったんだろう。何があっても絶対に喪えなかったのに。喪えば狂ってしまったオレなのに、そいつをこの身の毒で殺さないためには出ていくしかなかった。やっと再会できたのに、どうして今、別れを告げなきゃならない。欲しいものは神様、オレはたったひとつだったのに。本当はひとつだけでよかったのに。頭が変になるほど求めてたものを、自分から手放さなきゃいけないこれは一体何なんだ。あのままどこかの線路に飛び込んでしまえば良かった。願うことはたったひとつも叶えられない。」 (27巻p177) |
|
赤鯨衆の前で堂々プロポーズ!!直江ってば三国一の幸せモノ。でも何度読んでも泣きたくなります。高耶さんの心の叫びは悲しくなるほど切なくて、苦しくなりますね…。 |
|
「あの男に手を出したら、オレがその人間に報復する」 「むろん私怨だ」 (28巻p273) |
|
兵頭に対して鉄のような無表情で言い放っています。きゃ〜きゃ〜きゃ〜!直江ってば、3部はなんだかんだいって眩暈がしそうなことを高耶さんにいくつも言われてます。 |
|
(オレの命の名―) (27巻p208)
「おまえの『永久』を確かめるためだったら、オレはこの世界も滅ぼせる!」 (28巻p320)
「おまえとの『最上』を掴むために」 (28巻p321) |
|
≪最上≫を掴むため、≪闇戦国≫の根源を探るため、≪生き人≫と≪死人≫の共存のためにふたりは新たな1歩を踏み出した第3部でもあると思います。しかし、そんな2人にはさらなる厳しい試練が待ち受けているのでした。本当にきつくて大変です…。 |
|
|
|
ファイナル 29〜40巻 |
この魂はたったひとつ。たったひとつ。そのたったひとつを―。 「おまえにくれてやる!直江!」 (30巻p74)
「そうじゃねえだろ……っ。もうなにもかも足りねえんだよ!もっと触れよ、指突っ込めよ!ここにあんだろ、魂ここにあんだろ!じかに触れてみろよ。触れてくれよ!その手で掴みだせよ、ほら!もっと犯せよ、ぐちゃぐちゃにしろよ。こーゆー風に!」 (33巻p141)
「なにやってんだよ……もう肌だけじゃ足んねえだろ。ミルク搾り出せよ。心臓揉みしだけよ。陰嚢握るみてえにグイグイやれよ。いつもみてえに思う様口で吸えよ、アレが溢れて止まらねえくらい!死ぬほどやらしく、おまえならできんだろ!」 (33巻p141)
「そうだ……こいつだ、直江……。こいつで胸を割るんだよ。心臓が出てくるだろ、そいつを揉めよ。揉みしだけよ。オレの最後のイイトコなんだよ、それができたらおまえの思うままになってやるよ!」 (33巻p142) |
|
もう体がもたないという危機感がありありと感じられます。そして、サバイバルナイフを掴みながら直江に迫る高耶さんに、さすがの直江も「気が狂ってる」とか言ってます(それはお互い様)。 |
|
「狂うわけないだろうが。頭なんか、おまえに会った時からとっくにイカレてんだよ。見ろよ、おまえが欲しくてヒクついてやがる、おまえとヤリてえんだよ、早く突き立てろよ、さあ!」 (33巻p142) |
|
誘い受どころか襲い受…?高耶さんが壊れて驚愕する直江。直江は高耶さんが嫌がってるほうがお好み…ごほごほ…。でもさりげなく「おまえに会った時からとっくにイカレてる」とか言われてます。ということは400年前からお互い好き合っていたわけですね。 |
|
(この男はオレだけのものだ。未来永劫―オレ以上に執着する人間はいない。いるわけがない。この男の孤独を埋められる者はいない。) (33巻p143) |
|
いない、いない。誰も高耶さんを超えることなんてできませんから、安心してください…。お互いがお互いの孤独を埋められる唯一の存在ですから。
そしてこの頃、ナホヘを大人しくさせるという素敵な技を覚えました。それは高耶さんがいきなり直江の唇を奪うというもの。高耶さんの必殺技ですね。もうメロメロ(直江や私が)。 |
|
「自由な意志で、おまえ自身の意志で、おまえが忠誠を誓う相手は永久にオレだけなはずだ、そうでなくてはいけない!」 「おまえはオレのものだ!オレのものだ直江ぇーっ!」 (34巻p106)
(この自分の『唯一の存在』を汚した。その額にいかがわしい証を植え付けた。それだけで万死に値する。) (34巻p112)
(オレの直江に……) (34巻p112) |
|
≪魔王の種≫を埋められてしまった直江に高耶さんは相当壊れました。でもこのなりふりかまわない台詞が好きです。独占欲の塊でたまらない。そしてこの事態に対して高耶さんは静かに殺気を漲らせる。嫉妬と独占欲と殺意が渦巻きまくってます。 |
|
(オレを感じろ直江!) (オレへの想いで信長を狂わせろ!) (36巻p220〜222)
(あの男の想像を絶するおまえの真の狂気を今からオレが引きずり出してやる。オレを四百年狂わせたおまえのおびただしい愛憎を。ひとつの世界を滅ぼすほどの妄執を!この男の狂気はこんなもんじゃない。平気で「見て」いられるような生易しい代物じゃないことを教えてやる) (36巻p220〜222)
(じっくり押し開いて差し込んで) (突いてかきまぜてうねるように)(柔らかく抜いて) (縁をなぞって皺を広げて) (36巻p224) |
|
誘い受な高耶さんは「もっと欲しがらせてやるよ(36巻p220)」などと言って直江のネクタイを引っ張り、ディープチュー。人工呼吸のように深くやっています。舌の根に届くほど舌を差し込んで、口腔を犯しまくってます。
高耶さんの言う通り、直江の狂気は凶器です。信長ですら直江の狂気をはらんだ愛に少々やられていました。清正とか接触読心してましたけど、大丈夫だったんでしょうか…?さらに高耶さんは直江を犯すような烈しさでむしゃぶりつきます。しかも直江の上に馬乗りという格好で。蘭丸とかいるのになんて大胆な!
そしてこれらのテクニックは直江に教わったんでしょうね…。これぞまさに舌と舌を交わらせた野蛮言語(ヘヴィランゲージ)!! |
|
(おまえがいなくてはこの道は意味がない!) (37巻p104)
「―おまえが走れなくなったら、誰が俺を護るんだ?」 (38巻p181) |
|
この言葉の通り、ふたりが一緒じゃないと≪最上≫が掴めません。ふたりで走るからこそ生きる意味があるのだと思います。 |
|
|
|
■ 感想 |
何だか2ページにまたがってしまいました。しかもすごい長い!今回はいつになく大変でした。一体何週間かかったのかわかりません…。
それにしても書いていて思ったことは、やはり高耶さんは本当に人を惹きつける魅力があるなーということです。直江たちが心底惚れ込むのもわかりました。最後まで読んで2人の≪最上≫とは何かを読むことができたのではないかと思います。
最初にUPしてから数年が経過しているので、いくつか手直ししています。長いですが、読んでくれた方には本当に感謝です。ありがとうございます。 2007年12月24日 再UP |